更新日:2026年3月12日
託児所の開業に必要な備品や費用は?開業に向けての基礎知識

「託児所」とひとことで言っても、認可外保育施設、企業内託児所、商業施設内の一時預かり保育、夜間・病児型など形態はさまざまです。必要な備品や届出手続き、費用もタイプによって変わります。また、保育園(認可保育所)との違いがよくわからない方も多いでしょう。
本記事では、託児所の開業を検討している方に向けて、託児所の基本的な定義から、種類、必要な手続き、設備・備品、費用、運営上の注意点、そして開業者がよく抱くFAQまでを一つにまとめてわかりやすく解説します。
託児所とは

託児所とは、子どもを預ける場所全般を指す言葉です。明確な定義はありませんが「認可外保育施設」の意味合いで「託児所」という言葉が使われることもあり、認可保育園とは別の施設として認識されます。
なお、認可外保育施設にはさまざまな種類があります。例えば、美容室や病院、商業施設などに設置された保育ルームなども託児所(認可外保育施設)の一種です。また、会社内の託児所や独立した保育園型の託児所などもあります。
一方、「保育園」は、自治体の認可を受けて運営される認可保育所を指すことが一般的です。原則として、就労や病気などにより保護者が子どもを十分に保育できないときのみ利用できます。
託児所の対象年齢
一般的に託児所は、0~6歳の未就学児が受け入れの対象となります。
ただし、預け入れの対象となる年齢は託児所ごとに異なる点に注意が必要です。乳児を対象外とする施設や、反対に乳児のみを対象とする施設、小学生以上の子どもも対象とした施設、兄弟姉妹の年齢が考慮される施設などもあります。
開所時間と保育料
託児所(認可外保育施設)では、対象年齢だけでなく、開所時間や費用も運営者が自由に決められます。
国や自治体からの補助金・助成金が受けられない認可外保育施設も多いことから、認可保育所に比べると一般的に保育料は高額です。また、夜間や休日に子どもを受け入れる施設も多く、さらに保育料が高額になることもあります。
託児所開業に必要な備品と管理ポイント

託児所を開業する際には、必要な備品は、事前にリスト化しておきましょう。備品の種類や量は、園舎の広さや間取り、対象年齢、定員数、従業員数などによって異なるため、使用量や補充頻度なども考慮しつつ調整していくことが必要です。
開業時に準備しておきたい代表的な備品・必要アイテムをカテゴリ別に紹介します。ぜひチェックしてみてください。
代表的な衛生用品
託児所では、子どもの健康を守るために日常的な衛生管理が欠かせません。多くの託児施設で必要となる代表的な衛生用品としては、次のものが挙げられます。
乳児を預かる場合は、以下のアイテムも必要です。
また、施設運営には次の消耗品も揃えておくことが必要です。
いずれも日常的に使用する備品のため、補充計画も立てておきましょう。おおよその使用量を把握した後で、定期便を利用すると発注の手間が省けて便利です。
代表的な文房具・画材
子どもが楽しい時間を過ごすためにも、文房具や画材なども揃えておきましょう。工作用品には、紙粘土やハサミなどが含まれます。使用する子どもの年齢に合わせて、適切な種類を選びましょう。
最低限準備しておきたい文房具・画材としては、次のものが挙げられます。
代表的な教材・おもちゃ
子どもの成長や発達を促すため、年齢に応じた教材・おもちゃも準備しておきましょう。文房具や画材とは異なり、教材やおもちゃは消耗品ではありません。長く安全に遊べるよう、素材や耐久性などにこだわって選ぶことも大切です。例えば、次のものが挙げられます。
託児所に必要な防災アイテム
子どもの命を預かる託児所では、万が一の災害に備えた準備が不可欠です。ここでは、託児所として最低限揃えておきたい防災用品や衛生用品、その他の準備物を紹介します。
| 防災用品 | 非常食、水、ヘルメット、ランタン、毛布・ブランケットなど |
|---|---|
| 衛生用品 | ウェットティッシュ、携帯トイレなど |
| その他の準備物 | ハザードマップ、名簿、ホイッスルなど |
主な大型アイテム(大型備品)
施設の規模や保育方針によって必要な備品は異なりますが、保育室で使用する家具や家電といった大型備品に加え、事務所エリアにも業務に必要な備品が求められます。これらの備品は使用頻度が高く、長期間使用するケースが多いため、整理整頓のしやすさや動線、品質・耐久性を重視して選ぶことが重要です。
託児所の備品管理のポイント
託児所の備品は、次のポイントに注目して管理しましょう。
- 年齢別対応
- 安全性
- 定期的な点検
月齢・年齢によって必要な備品が異なります。受け入れの対象となる子どもの月齢・年齢を考慮して、備品を購入し、適時補充するようにしましょう。
また、安全面への配慮も欠かせません。遊び道具であっても、使用方法によってはケガや感染症の原因となる可能性があります。
さらに、導入した備品は定期的に点検し、強度や塗装の剥がれなどがないか確認することが重要です。安全に長く使用するためにも、点検スケジュールを決めて運用しましょう。
託児所の種類

託児所は次の種類に分けられます。
- 夜間・病児専門型
- 事業型保育施設(企業内託児所・病院内託児所)
- 一時預かり(ベビーシッター・保育ルーム)
- 保育園型
- 児童館型
それぞれの特徴を紹介します。
夜間・病児専門型
夜間・病児専門型とは、ベビーホテルや病児保育室などの託児所を指します。なお、ベビーホテルは以下のいずれかの基準を満たす託児所を指すことが一般的で、24時間営業している施設も少なくありません。
- 夜20時以降にも開所している
- 宿泊可能である
- 施設利用者の半数以上が一時保育である
一方、病児保育は病気の子どもを専門に預かる施設です。保育士だけでなく看護師も配置されていることが一般的です。
事業型保育施設(企業内託児所・病院内託児所)
事業型保育施設には、企業が子どもを持つ従業員のために社内あるいはその近くに設ける「企業内託児所」や、患者や病院スタッフが利用できる「病院内託児所」などがあります。
いずれも特定の事業所の従業員や利用者を対象としているため、原則として、地域に暮らす一般住民には開かれていません。
一時預かり(ベビーシッター・保育ルーム)
「一時預かり」とは、子どもを一時的に預かる保育施設のことです。商業施設やスポーツ施設、クリニック、美容院などに併設されていることもあり、保護者が子どもを保育できない場面で活用されます。
保育園型
認可外保育園として運営される独立した保育施設も、託児所と呼ばれることがあります。子どもが就学するまで利用できることが一般的ですが、月極での利用が可能な施設もあります。
児童館型
児童館や子育て広場などの公的施設で、子どもの一時預かりを実施していることがあります。開所時間が短い託児所も多く、利用できる時間・曜日などが限られます。
託児所と保育園(認可保育所)との違い
一般的に保育園と呼ばれる「認可保育所」は、自治体の認可を受けています。そのため、施設の広さや職員数、設備などにおいて厳しい基準が定められ、全ての基準を満たしていることが必要です。また、認可を受けると補助金を受給できるため、保育料が低く抑えられています。
一方、託児所などの認可外保育施設は自治体の認可を受けていないため、保育環境や設備はさまざまです。一定の基準を満たす必要がなく、開設のハードルが低い点はメリットだといえるでしょう。
託児所(認可外保育施設)を開業するために必要な手続き

託児所の開業には、認可外・認可を問わず行政への届け出が必要です。一般的な開業までの流れや行政への提出書類、安全基準などについて見ていきましょう。
開業までの主な流れ
認可外保育施設の開業手続きは、以下の流れに沿って進めていきます。
- 事業計画書の作成
- 物件の確保
- 施設基準の確認
- 人員配置
- 設置届の提出
- 開業後の運営開始
設置届は、管轄の自治体窓口に提出します。自治体ごとにフォームが定められているため、窓口で受け取るか、公式ホームページからダウンロードしておきましょう。また、自治体によっては「事前相談・事前提出」が必要な場合もあり、開業を考えている自治体のルールを確認しておく必要があります。
行政への提出書類と申請の進め方
認可外保育施設を開設するときは、事業開始から1カ月以内に管轄の自治体窓口に「認可外保育施設設置届」を提出します。届出の義務がある施設と主な提出書類、提出先は以下をご覧ください。
| 届出の義務がある施設 | 認可保育所・認定こども園・地域型保育事業(家庭的保育事業、小規模保育事業、事業所内保育事業または居宅訪問型保育事業)以外で乳幼児を預かる事業形態。ベビーシッター(居宅訪問型)についても原則として届出が必要。 |
|---|---|
| 主な提出書類 |
|
| 提出先 | 管轄の自治体の児童福祉関係窓口。ただし、自治体によって担当部署が異なるため、要確認。 |
また、消防や衛生関連のチェック、開設後の監査・立入検査なども実施されます。なお、立入検査は原則として年1回以上の実施です。主に次の項目が確認されます。
| 設備関連 |
|
|---|---|
| 運営関連 |
|
| 雇用関連 |
|
託児所に必要な設備・安全基準
認可外保育施設の設備や安全においては、次の基準を満たしていることが必要です。
以下は、国が定める「認可外保育施設指導監督基準」および東京都の基準を参考にした一般的な例です。
実際の基準は自治体ごとに異なる場合があるため、詳細は必ず管轄自治体の案内を確認してください。
| 施設基準 | 1日に保育する乳幼児が6人以上 |
|
|---|---|---|
| 1日に保育する乳幼児が5人以下 |
| |
| 災害措置 |
| |
なお、認可外保育施設の運営にあたっては、国が定める「認可外保育施設指導監督基準」を最低限のルールとして、各自治体が独自に運用や細かな基準を定めています。
そのため、必要書類や人員配置、設備基準、指導監督の方法などは自治体によって異なる場合があります。
開業を検討する際は、必ず管轄自治体へ事前相談を行い、最新の基準を確認することが重要です。
参照:東京都福祉局「認可外保育施設の新設を検討されている方へ」
参照:文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」
開業に必要な費用・資金計画

スムーズな運営のためにも、綿密に資金計画を立てておくことが必要です。初期費用の目安や運営にかかる費用についてまとめました。また、開業資金を抑えるために活用できる制度も紹介します。
初期費用の目安
託児所の規模によっても異なりますが、初期費用として400万~600万円程度は準備しておきましょう。物件取得だけでなく、内装工事や設備・備品購入などにそれぞれ100万円前後、宣伝に0~50万円程度の費用がかかることが一般的です。
運営費
託児所を運営するには、次の費用も必要です。
- 人件費
- 家賃
- 食材・おむつなどの消耗品の費用
- 研修費用
- 保険料
研修費用を除き、これらの費用は毎月発生します。運営が軌道に乗るまでの数カ月間分の費用を準備してから開業するようにしましょう。
開業資金を抑えるポイント
認可外保育施設であっても条件を満たせば、国や自治体の補助金・助成金制度を活用できることがあります。例えば、次の制度を利用できるかもしれません。
- 就学前教育・保育施設整備交付金
- 保育環境改善等事業
- 保育所等におけるICT化推進等事業
- IT導入補助金
自治体によっては独自の制度を実施していることもあります。開業前に自治体窓口で相談してみましょう。
参照:厚生労働省「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金のご案内」
参照:こども家庭庁「仕事・子育て両立支援事業(企業主導型保育事業 等)」
参照:こども家庭庁「地域少子化対策重点推進交付金」
参照:こども家庭庁「保育所等整備交付金」
参照:文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」
託児所開業者が知っておくべき運営上の注意点

託児所開業後に次のようなトラブルが生じる可能性があります。
- 施設内外での事故
- 保護者対応におけるトラブル
- 近隣からのクレーム
- 衛生関連のトラブル
トラブルを完全に回避することは不可能ですが、トラブルに備えることは可能です。すでに開業している託児所の経営者などにも相談し、トラブル対応マニュアルなどを作成しておきましょう。
託児所開業によくあるビジネスFAQ

託児所の開業に関してよくある質問とその答えをまとめました。疑問解消のヒントになるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。
託児所開業に必要な資格や許可は?
託児所は多くの場合「認可外保育施設」に該当するため、自治体への届出(認可外保育施設設置届)が必須です。
代表者に特別な資格は不要ですが、国の「認可外保育施設指導監督基準」では、保育従事者のおおむね3分の1以上が保育士または看護師資格を有していることが求められています。
なお、自治体によっては安全性向上の観点から、半数以上の保育従事者が有資格者であることを推奨している場合もあります。あわせて、乳幼児の人数に応じた面積基準・避難経路・衛生管理などの要件を満たすことも必要です。
開業準備にはどれくらいの期間が必要?
物件選びや自治体相談、備品調達、スタッフ採用などを含めると、3〜6カ月が目安とされています。宣伝なども必要になるため、余裕を持って準備しましょう。
設備・備品はどこまで揃える?
まずは基本的な設備・備品を揃え、運営しながら不足する物を揃えていきましょう。基本的な設備・備品は、以下を参考にしてください。おむつやおしりふきなどの消耗品は、定期購入やまとめ購入を利用すると便利です。
まとめ
託児所を開業するときは、認可外・認可を問わず行政手続きが必要です。準備に手間取ることもあるため、早めに準備を開始しましょう。
また、設備や備品も考慮しておくことが必要です。消耗品については定期購入やまとめ購入を活用すると、注文の手間を削減できて便利です。
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