更新日:2026年4月13日
【企業向け】2026年施行の法改正まとめ

2026年には、労働基準法の見直しや女性活躍推進法の改正など労務・人事分野をはじめ、年金制度改正や会社法・コーポレートガバナンス関連など、企業実務に影響する多くの法改正が施行されます。
本記事では、2026年施行の法改正について分野別の改正ポイントをまとめました。企業の法務・人事担当者の方は、自社で対応が必要かどうかを判断し、今後の実務対応を検討する際の参考にしてください。
2026年法改正の全体像と企業実務への影響範囲

2026年に行われる主な法改正には、次のようなものが挙げられます。
| 法律名 | 施行時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 労働安全衛生法 | 1月 | 1月から段階的に施行される。個人事業者(フリーランス等)への安全衛生の枠組み拡充の他、ストレスチェック制度の義務化拡大などが含まれる |
| 中小受託取引適正化法 | 1月 | 用語の見直しや適用対象の拡大 |
| 子ども・子育て支援金制度 | 4月 | 少子化対策の解決に向けた新たな財源確保の仕組み |
| 女性活躍推進法 | 4月 | 常時雇用労働者数が101人以上の企業に対して、男女間賃金差異および女性管理職比率に関する情報公表を義務化。同法の有効期限を2036年3月31日まで10年間延長 |
| 年金制度 | 4月 | 在職老齢年金制度の見直しやiDeCoの加入可能年齢の見直し、標準報酬月額上限の段階的引き上げ、遺族厚生年金の制度の見直しなど |
| GX推進法 | 4月 | 排出量取引制度の義務化や化石燃料賦課金の導入など |
| 障害者雇用促進法 | 7月 | 障害者雇用の法定雇用率が段階的に2.5%から2.7%に引き上げられる。対象企業も常時雇用労働者数が「37.5人以上」の企業へと拡大 |
| 公益通報者保護法 | 12月 | 法律の対象者を業務委託関係にあるフリーランスや業務委託関係終了後1年以内のフリーランスなどに拡大 |
| 労働施策総合推進法(カスハラ対策法) | 12月10日までに施行予定 | カスタマーハラスメント防止対策や就職活動中のハラスメント防止に関する事業主の措置義務が強化される。治療と仕事の両立支援も目指す |
| サイバー対処能力強化法 | 2026年度中 | サイバー攻撃に対応するための官民連携や通信情報の取得・利用などをまとめた法律 |
その他、検討中の法律としては、個人情報保護法や労働基準法などがあります。
2026年はなぜ法改正が集中するのか
2026年に多くの法改正が行われる要因として、次のようなものが挙げられます。
①社会経済の変化への対応
少子高齢化の変化や働き方改革の推進、多様な雇用形態の広がりなどを受け、現行制度の見直しが進んでいます。
これに伴い、労働安全衛生法、女性活躍推進法、年金制度、障害者雇用促進法、労働施策総合推進法(カスタマーハラスメント対策)など、労務・社会保障分野を中心に改正が行われます。
②デジタル化やガバナンス強化の流れ
DXの進展や情報管理の重要性の高まりを背景に、公益通報者保護法やサイバー対処能力強化法など、企業の体制整備を求める法改正が進められています。
③企業コンプライアンス・リスク管理の強化
取引の適正化や立場の弱い事業者の保護を目的として、中小受託取引適正化法など、企業間取引に関する法改正も予定されています。
このように、法律が制定された当時から社会は大きく変化したことで、社会の実態と制度のズレが生じている分野が増えています。こうした課題を是正するため、2026年を含めて複数の法改正が集中的に行われる予定です。
企業にとって法改正対応が重要な理由
企業は、法改正にあわせて社内規定や業務フローを適切に見直す必要があります。対応が不十分な場合、法令違反となり、行政指導や是正勧告を受けるおそれがあります。そのため、法改正の内容を正しく理解し、早めに対応することが重要です。
また、コンプライアンス違反が公表されると、社会的信用の低下や取引停止など経営上のリスクも考えられます。法改正への未対応は企業全体に影響を及ぼしかねないため、日頃から最新の法改正情報を継続的に把握し、体制整備を進めることが求められます。
労務・人事に関係する2026年の法改正

労務・人事に関係する2026年の法改正について解説します。改正が予定されている法律には、次のようなものがあります。
| 法律名 | 施行時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 労働安全衛生法 | 1月 | 1月から段階的に施行される。個人事業者(フリーランス等)への安全衛生の枠組み拡充の他、ストレスチェック制度の義務化拡大などが含まれる |
| 子ども・子育て支援金制度 | 4月 | 少子化対策の解決に向けた新たな財源確保の仕組み |
| 女性活躍推進法 | 4月 | 常時雇用労働者数が101人以上の企業に対して、男女間賃金差異および女性管理職比率に関する情報公表を義務化。同法の有効期限を2036年3月31日まで10年間延長 |
| 障害者雇用促進法 | 7月 | 障害者雇用の法定雇用率が段階的に2.5%から2.7%に引き上げられる。対象企業も常時雇用労働者数が「37.5人以上」の企業へと拡大 |
| 労働施策総合推進法(カスハラ対策法) | 12月10日までに施行予定 | カスタマーハラスメント防止対策や就職活動中のハラスメント防止に関する事業主の措置義務が強化される。治療と仕事の両立支援も目指す |
これらの法律の改正は、企業実務への影響が大きいものばかりです。労務や人事、総務が中心となって対応できるようにしっかりと内容を理解しておきましょう。
<参照>
厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」
こども家庭庁「加速化プランによる子育て支援の拡充と子ども・子育て支援金」
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)」
厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
厚生労働省 大阪労働局「いわゆる「カスハラ」「就活セクハラ」対策が義務化されます!女性活躍推進法が改正されます!」
法改正の方向
2026年に行われる労務・人事に関係する法改正は、労働時間管理の適正化や働き方改革の流れを受けたものが多く含まれます。労働安全衛生法では、健康管理やストレスチェック、職場の安全衛生対策の強化などが主な変更点です。
また、女性活躍推進法の改正では、女性のキャリア形成支援を目的としており、管理職比率目標の設定や公表義務の強化がなされています。
その他、労働基準法の改正に向けても話し合いが進められています。労働基準法の改正では、14日以上の連続勤務の禁止やフレックスタイム制・テレワーク関連の見直しなどが検討されています。労務担当者は、今後の動向にも継続的に注目しておく必要があるでしょう。
企業に求められる労働時間管理・運用の見直し
法改正に伴い、企業には次の対応が求められます。
- ストレスチェックを実施する環境の構築
- 法改正に対応した社内規程・運用ルールの再整備
- 勤怠管理の徹底
ストレスチェックは、50人未満の企業も対象になります(最長2028年5月までには義務化される予定)。そのため、50人未満の企業の労務担当者は、まず体制の整備に取りかかりましょう。
また、子ども・子育て支援金の負担についても、会社と従業員が折半で負担するということを従業員へ周知徹底する必要があります。
現在は検討段階ではありますが、労働基準法の改正が行われれば、より厳格な勤怠管理の徹底を求められます。労務担当者は、いつ改正が行われてもいいように今から情報をしっかりと追っておきましょう。
年金制度改正の概要

2025年6月に年金制度改正法が成立・公布され2026年4月以降に順次施行が予定されています。主な年金制度改正の内容と施行日は、次の通りです。
| 改正内容 | 施行(予定)時期 | 詳細 |
|---|---|---|
| 在職老齢年金制度の見直し | 4月 | 支給停止基準額が、月50万円から月62万円に引き上げられる (※62万円は2024年度時点の水準) |
| 企業型DC(企業型確定拠出年金)におけるマッチング拠出の制限を撤廃 | 4月 | 企業型DC(企業型確定拠出年金)の掛金に加えて、従業員自身が追加できる掛金は、企業の拠出する掛金を超えられないという制限を撤廃 |
| iDeCoの加入可能年齢の見直し | 12月予定 | 現行の65歳未満から70歳未満へ拡大 |
| 標準報酬月額上限の段階的引き上げ | 2027年9月から | 標準報酬月額の上限が段階的に引き上げられる(上限は月額65万円から2027年9月に68万円へ引き上げ、その後の引き上げについては今後の制度設計に基づき段階的に実施される予定。) |
| 企業年金の運用・開示制度の改正 | 2027年度中を予定 | 各社から集めた企業年金の運用成績を開示することで他社の運用成績と容易に比較できるようにし、企業年金の資産運用に関する透明性を高めるとともに、加入者の利益拡大につなげる |
| 遺族厚生年金の制度の見直し | 2028年4月 | 男女間で受給要件格差を解消し、一定の要件を満たす男性遺族も遺族厚生年金の受給対象となる |
| 子の加算額等の見直し | 2028年4月 | 子の加算額を一律で281,700円に引き上げる |
<参照>
厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
遺族年金への影響
これまでの遺族厚生年金の問題点として、男女間での受給要件差が挙げられます。なかでも男性遺族が受給できるケースが限定的であったことを受け、法改正では男女差を解消し、一定の要件を満たせば男性遺族も遺族厚生年金の受給対象となるようになりました。
あわせて、遺族基礎年金を子どもが受け取りやすくなるように次のような改正も行われています。
- 収入要件の撤廃
- 同一生計要件の柔軟化
また、子育て世帯の経済的負担の軽減や遺族家庭への支援強化を目的として、年金制度における子の加算額も変更になっています。これまでは、第2子までが年間234,800円、第3子以降が78,300円と定められていました。改正後は、一律281,700円に引き上げられます。
iDeCo・企業年金制度の改正
年金制度改正では、iDeCoや企業型DC(企業型確定拠出年金)について、次のような変更点があります。
- iDeCo:加入可能年齢が65歳未満から70歳未満に引き上げられるため、再雇用や定年の延長などで働く高齢者もiDeCoを活用した老後資金形成が可能になる
- 企業型DC(企業型確定拠出年金):従業員が上乗せする掛金の制限が撤廃される
- 企業年金の運用状況の見える化(情報開示)の促進:制度の透明性が高まる他、加入者が自らの資産形成状況を把握しやすくなる
<参照>
厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
会社法・コーポレートガバナンス関連の改正

経営・法務部門が中心となって対応すべきこととしては、予定されているコーポレートガバナンス・コードの改訂や中小受託取引適正化法(旧:下請法)の改正(1月から)が挙げられます。
ガバナンス強化が求められる背景
近年、企業の不祥事防止や説明責任の強化を目的として、ガバナンス体制の見直しが強く求められています。コーポレートガバナンスとは、企業が不正や不祥事を防ぎ、経営を適切に監督・統制するための仕組みを指します。
コーポレートガバナンス・コードは、コーポレートガバナンス実現のために欠かせない原則を東京証券取引所と金融庁がまとめた指針のことです。ステークホルダー(株主や顧客、従業員など)との望ましい関係性や取締役会の設置など、上場企業の組織としてあるべき体制がまとめられています。
今回のコーポレートガバナンス・コード改訂では、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、情報開示の充実や取締役会等の機能強化などが取り組みとして盛り込まれています。企業には、形式的な対応にとどまらず、実効性のあるガバナンス体制の構築が求められているといえるでしょう。
取締役会・内部統制への影響
コーポレートガバナンス・コードでは、取締役会の役割・責務として次のことが定められています。
- 会社の持続的成長のために企業戦略を示すこと
- 実効性の高い監督を行うこと
企業の持続的成長のためには、これまで社外取締役と投資家の対話や取締役会事務局による実質的な議論を促すための取り組みなどが行われていました。
そして、今回の改訂では社外取締役や取締役会事務局の機能強化に向けて、企業の実務担当者や関係者が議論する場としてコンソーシアムを立ち上げることとなっています。
これにより、取締役会運営や内部統制の在り方について、より実務に即した改善が求められるようになり、企業のガバナンス体制全体に影響を及ぼすと考えられます。
中小企業・非上場企業への影響はあるか
中小企業・非上場企業への影響としては、中小受託取引適正化法(取適法、旧:下請法)の改正(1月から)が挙げられます。改正では、次の2点が変更になります。
1:用語の見直し
下請には委託側と受託側の上下関係を想起させる側面があったため次のように変更されます。
<主な用語の変更点>
- 下請代金支払遅延等防止法
→製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 - 下請代金→製造委託等代金
- 親事業者→委託事業者
- 下請事業者→中小受託事業者
2:適用対象の拡大
- これまでの資本金基準に加えて、従業員基準(300人、100人)が追加
- 対象取引に製造等の目的物の引き渡しに必要な特定運送委託が追加
今回の改正によって、受託側の中小企業の利益保護が強化される見込みです。
<参照>
公正取引委員会「2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!」
個人情報保護・情報セキュリティ分野の改正

個人情報保護・情報セキュリティ分野の改正としては、公益通報者保護法や個人情報保護法、サイバー対処能力強化法が挙げられます。公益通報者保護法の改正法は、12月に施行予定です。
個人情報保護法の改正は、2026年の通常国会への法案提出を目指して検討が進められています。サイバー対処能力強化法は、2025年5月16日に成立し、同月23日に公布された法律です。こちらは、2026年中に政令に基づき段階的に施行される予定となっています。
個人情報保護に関する見直しの方向性
個人情報保護に関する見直しとして、個人情報保護法の改正や公益通報者保護法の改正が該当します。
個人情報保護法とは、個人情報の取り扱いについての対応をまとめた法律です。現在話し合いが進められている改正案では、子供の個人情報や生体関連情報などリスクが高い領域への対応強化や委託管理ルールの見直しが盛り込まれています。
公益通報者保護法の改正法では、法律の対象者を業務委託関係にあるフリーランスや業務委託関係終了後1年以内のフリーランスなどに広げる予定です。
法務担当者は、個人情報保護の対象となる人物をあらためて把握する必要があるでしょう。
情報セキュリティ体制整備の重要性
サイバー対処能力強化法は、サイバー攻撃の脅威が増すことに対処すべく定められた法律です。サイバー対処能力強化法では、政府と事業者が連携して能動的にサイバー攻撃に対応するための官民連携や通信情報の取得・利用などがまとめられています。
企業では、最新の情報をキャッチアップしつつ、サイバーリスクに対する対策も講じる必要があります。あわせて、社内体制の強化や情報セキュリティに対する社内教育の実施なども行っていきましょう。
<参照>
内閣官房「サイバー安全保障に関する取組(能動的サイバー防御の実現に向けた検討など)」
環境・サステナビリティ関連の法改正

環境・サステナビリティ関連の法改正として、次のようなものがあります。
- GX推進法(4月)
- サステナビリティ情報開示の義務化(2027年3月31日以後に終了する事業年度から)
ここではそれぞれの改正について詳しく見ていきましょう。
環境規制強化の背景と方向性
GX推進法の改正の大きな特徴は、改正資源有効利用促進法(資源法)とセットで改正され、エネルギーの脱炭素化(GX推進法)に加えてモノの資源循環(資源法)も同時に進めていくという点です。
法改正における変更点は、次の3点です。
- 排出量取引制度(GX-ETS)の義務化(4月~):CO2排出量が一定規模以上の企業について、段階的にGX-ETSへの参加が義務付けられる
- 化石燃料賦課金の導入(2028年~):化石燃料を採取したり輸入したりする事業者からCO2排出量に応じた賦課金を徴収する
- 税額控除(4月~):カーボンニュートラルへの貢献、炭素生産性を向上する投資をした企業に税額控除が行われる
企業においては、まずは自社が該当する事業を行っているかどうかの確認やGXに取り組むメリットを把握することが大切です。
<参照>
経済産業省「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び
資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案の概要」
企業に求められる環境対応・情報開示
2025年11月、金融庁は「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正案において、サステナビリティ開示基準の適用に向けた環境整備や人的資本開示に関する制度見直しを公表しました。公表された内容は、次の通りです。
<サステナビリティ情報の開示について>
平均時価総額1兆円以上の企業(東京証券取引所プライム市場上場企業のうち)には、サステナビリティ基準委員会の公表するサステナビリティ開示基準を適用し開示を義務付けます。
■有価証券報告書等への適用予定時期
- 時価総額が3兆円以上の企業:2027年3月31日以後に終了する事業年度
- 3兆円未満1兆円以上の企業:2028年3月31日以後に終了する事業年度
それぞれにかかる有価証券報告書等への適用が予定されています。
<人的資本について>
「従業員の状況等」には、新たに次の項目の記載が求められます。
- 企業戦略と関連付けた人材戦略
- 従業員の給与等の額および内容の決定に関する方針
- 平均年間給与の対前事業年度増減率
■有価証券報告書等への適用予定時期
2026年3月31日以後に終了する事業年度にかかる有価証券報告書等への適用が予定されています。
企業においては、自社が該当するのかを確認した上で、該当する場合には正しい記載方法や正確な情報収集、開示対応が求められます。
<参照>
金融庁「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)等に対するパブリックコメントの実施について」
まとめ
労務・人事に関するものや年金制度の改正、会社法・コーポレートガバナンス関連の改正など、2026年には多くの法改正があります。企業は法改正に対応していないと、法律違反になったり、行政指導を受けたりする可能性があるため、法務担当者は各改正内容を整理したうえで、自社への影響を把握しておくことが重要です。
本記事で整理した内容をもとに、自社に影響する法改正を洗い出し、部門横断での対応準備を進めていきましょう。
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