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更新日:2026年4月13日

飲食店必見!夏の食中毒対策と予防のポイント

飲食店で食事をしている様子
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飲食店にとって、食中毒は最も避けなければならない重大なリスクの一つです。万が一発生すると、営業停止や売上の減少だけでなく、これまで積み重ねてきたお店の信頼を一気に失ってしまうおそれがあります。

特に気温や湿度が高まる時期は、衛生管理のわずかな油断が大きな事故につながります。本記事では、飲食店で起こりやすい食中毒の原因と具体的な予防策についてまとめました。

食中毒の約半数は飲食店で発生している

飲食店の厨房にある鍋

厚生労働省がまとめた「令和6年(2024年)食中毒発生状況」によれば、食中毒の約半数は飲食店で発生しています。

飲食店は不特定多数の方が利用するため、一度食中毒が発生すれば、多くの被害者が出るおそれがあります。人々の健康を守るためにも、飲食店は食中毒が発生しないように管理・運営することが大切です。

また、食中毒を発生させないことは、飲食店が事業を続けていくためにも大切なポイントです。食中毒が発生すると行政から一時的に業務停止を命じられるだけでなく、評判に傷がつき、顧客を失うことにつながりかねません。

原因施設別食中毒発生状況(令和6年)の円グラフ

<出典>
厚生労働省「食中毒統計 令和6年(2024年)食中毒発生状況

飲食店で食中毒が発生しやすい理由

飲食店で食中毒が発生しやすい主な理由としては、以下が挙げられます。

  • 加熱不足、温度管理の難しさ
  • 衛生管理の不徹底(手洗いや器具洗浄の不徹底)
  • 原材料の保管、管理ミス

特に飲食店の繁忙時間帯は、作業の簡略化による衛生管理の抜け漏れが起こりやすく、食中毒が発生しやすい状況になりがちです。時間に余裕がある・ないに関わらず、衛生管理を徹底することが大切です。

食中毒が発生しやすい時期

食中毒が発生しやすい時期は、夏と冬です。夏は、O157やカンピロバクター、サルモネラ菌といった細菌性食中毒が発生しやすい時期です。食中毒を引き起こす細菌の多くは、20℃程度の室温で増殖し、さらに高温になり人間の体温ぐらいになると増殖スピードが活発になる傾向にあります。

細菌の多くは湿気を好むため、気温だけでなく湿度も高くなる梅雨時期になると増殖しやすくなります。通常以上に衛生管理に注力するのはもちろん、調理器具やふきんなどが生乾きの状態にならないよう配慮することも重要です。

一方、冬場はノロウイルスなどのウイルス性食中毒が多い傾向にあります。寒さが厳しくなる11月ごろから、ウイルス性食中毒への対策を強化する必要があるでしょう。

<参照>
農林水産省「食中毒は年間を通して発生しています
一般社団法人 東京顕微鏡院「細菌性の食中毒にご注意を!~気温の高い季節に発生する食中毒とその予防

<参考>
飲食店でのノロウイルス対策完全ガイド!感染症予防法も解説
飲食店従業員がノロウイルスに感染したらいつまで休む?復帰基準と再発防止のポイント
飲食店の検便検査とは?義務や頻度、必要な検査と衛生管理のポイント

飲食店で起こる食中毒の原因は?

細菌の顕微鏡写真

飲食店でよくある食中毒の原因としては、以下が挙げられます。

  • カンピロバクターやサルモネラなどの細菌
  • ノロウイルスや肝炎ウイルスなどのウイルス
  • アニサキスやクドアなどの寄生虫
  • フグやキノコなどの自然毒
  • ヒスタミンなどの化学物質

それぞれの特徴や人体に入った場合に見られる症状を紹介します。

カンピロバクターやサルモネラなどの細菌

食中毒の原因となる代表的な細菌として、主に鶏肉に潜むカンピロバクターやサルモネラ菌、生肉に潜む腸管出血性大腸菌(O157)が挙げられます。それぞれの細菌が引き起こす症状は、以下をご覧ください。

カンピロバクター
  • 腹痛、下痢など
  • 稀に手足や顔面麻痺、呼吸困難などを引き起こすギランバレー症候群を発症することもある
サルモネラ菌
  • 摂取後、12~48時間の潜伏期間を経て発症
  • 腹痛、嘔吐、下痢、発熱など
腸管出血性大腸菌
  • 腹痛、下痢など
  • 生肉により発症することが多いが、浅漬けで発症した例も報告されている

<参照>
食品安全委員会「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル~鶏肉におけるサルモネラ属菌~(改訂版)
厚生労働省「お肉はよく焼いてたべよう
厚生労働省「腸管出血性大腸菌O157等による食中毒

ノロウイルスや肝炎ウイルスなどのウイルス

ノロウイルスやA型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスなどのウイルスによる食中毒も報告されています。主な種類と症状は以下をご覧ください。

ノロウイルス
  • 感染から発症まで24~48時間
  • 吐き気、下痢、嘔吐、腹痛、微熱など
A型肝炎ウイルス
  • アサリなどの加熱調理用の二枚貝に潜んでいることがある
  • 汚染した水や食品に含まれ、A型肝炎を発症する
E型肝炎ウイルス
  • 鹿肉(生食)、イノシシ肉(生食)、豚レバー(生食)など
  • 汚染した水や食品に含まれ、E型肝炎を発症する

<参照>
厚生労働省「食中毒の原因(細菌以外)
厚生労働省「冬は特にご注意!ノロウイルスによる食中毒
厚生労働省「A型肝炎ウイルスによる食中毒の予防について
厚生労働省「E型肝炎ウイルスの感染事例・E型肝炎Q&A

アニサキスやクドアなどの寄生虫

アニサキスやクドアなどの寄生虫が食品内に潜んでいる場合、駆除せずにそのまま食べると食中毒を引き起こすことがあります。主な寄生虫の種類と症状については、以下をご覧ください。

アニサキス
  • サバやアジ、サンマ、マグロ、イカなどの魚介類にアニサキスの幼虫が寄生
  • 激しいみぞおちや下腹部の痛み、吐き気、嘔吐など
クドア
  • ヒラメに寄生するクドア属の粘液胞子虫
  • 食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を発症する

<参照>
厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう
厚生労働省「クドアによる食中毒について

フグやキノコなどの自然毒

フグやキノコ、二枚貝などには自然毒が含まれていることがあります。主な自然毒の種類と症状は以下をご覧ください。

フグ
  • フグの体内に含まれるテトロドトキシンが主な原因
  • 食後20分~3時間ほどでしびれや麻痺症状が表れ、重症の場合は呼吸困難で死に至る
キノコ
  • ツキヨタケ、テングタケ、クサウラベニタケなどの毒キノコを誤って食すケースがある
  • 嘔吐、下痢、腹痛など
二枚貝
  • ホタテなどの二枚貝には麻痺性貝毒が含まれていることがある
  • 脱力感、しびれなど

<参照>
厚生労働省「安全なフグを提供しましょう
厚生労働省「毒キノコによる食中毒に注意しましょう
厚生労働省「麻痺性貝毒による食中毒の防止について

ヒスタミンなどの化学物質

ヒスタミンなどの化学物質により、食中毒が引き起こされることもあります。主な原因や症状は以下をご覧ください。

ヒスタミン
  • タンパク質を構成するアミノ酸の一種「ヒスチジン」にヒスタミン産生菌の酵素が作用し、ヒスタミンが生成する
  • ヒスタミンが高濃度に蓄積された魚類やその加工品などを食することで発症する
  • マグロ、カジキ、サバ、アジなどに含まれることが多く、調理時の加熱では分解されない
  • 唇や舌にしびれを感じるなどの症状が見られる

<参照>
厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について

夏に向けて飲食店で実施したい食中毒予防対策

衛生管理を徹底して調理を行う飲食店のスタッフたち

夏は食中毒が発生しやすい時期です。特に細菌性食中毒が生じやすくなります。
実施したい対策を調理・保存・提供の3つの工程に分けて紹介します。

調理時の対策

調理時は、以下の対策を実施しましょう。

  • 食材ごとに調理器具を使い分ける
  • 十分に加熱する
  • 調理器具と手指を消毒する

例えば、鶏肉に潜んでいることが多いカンピロバクターは、加熱により死滅しやすくなります。中心部が75℃以上かつ1分以上になるように加熱し、食中毒を予防しましょう。

保存時の対策

食材や調理済み食品は冷蔵保存が基本です。温度が上昇すると食中毒の原因菌が増殖しやすくなるため、特に肉や魚、貝類などは冷蔵保存を心がけましょう。また、食品の温度が上がらないよう、調理直前に冷蔵庫から取り出すようにします。

提供時の対策

夏場の生肉提供は甚大なリスクを伴います。法的に禁止された部位を避けるのはもちろん、基本的には加熱調理した料理のみ提供するようにしましょう。盛り付けや配膳の際は、食品に触れる食器と手指を消毒するのはもちろんのこと、テーブルや椅子など、人の手が触れるところは全て定期的に清掃することも大切です。

デリバリー注文の対策

デリバリーでは調理から喫食までに時間がかかりやすく、配送中の温度管理も難しいため、店内提供以上に食中毒リスクが高まります。そのため、より厳格な対策が求められます。

まずメニューを選定する際は生肉や生魚、半熟卵などの傷みやすい食材は避けます。配達時は浅い容器で小分けにする、保冷剤やクーラーボックスを活用するなど、温度上昇を抑える対策を実施しましょう。

普段から実施したい従業員教育と衛生対策

業務用冷蔵庫の前でバインダーを持つスタッフ

食中毒は特定の季節だけに起こるのではありません。普段から実施しておきたい食中毒対策としては、次のものが挙げられます。

  • HACCP(ハサップ)に沿って衛生管理計画を立てる
  • 衛生管理マニュアルを作成する
  • 衛生管理の状況を記録する
  • 定期的に衛生管理マニュアルを見直す
  • 専門機関に相談する

それぞれの対策を解説します。

HACCP(ハサップ)に沿って衛生管理計画を立てる

2021年6月以降、全ての食品等事業者はHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point、ハサップ)に沿った衛生管理が必須となりました。

HACCPとは、原材料の入荷から食品提供・出荷に至る全工程において食中毒菌による汚染や異物混入などの危害要因を除去・低減するための衛生管理手法です。
HACCPでは食品管理や製造の過程を管理する工程を定めています。規定に沿って衛生計画を立てることで、飲食店における食中毒の発生を回避しやすくなるでしょう。

衛生管理マニュアルを作成する

衛生管理の方法を定めても、従業員1人ひとりが実行しなくては意味がありません。分かりやすいマニュアルを作成し、従業員に徹底させる必要があります。

作成の際は、「いつ・どこで・誰が・何を・どのように」行うかを明確にします。完成したマニュアルはバックヤードに掲示し、定期的な研修を通じて全従業員へ周知しましょう。

衛生管理の状況を記録する

衛生管理は保存や調理などの工程をさらに細かく分け、綿密に実施することが必要です。各管理状況を記録することで、マニュアルの徹底が実現しやすくなります。

具体的には、冷蔵・冷凍庫の温度確認、従業員の健康チェック、調理時の加熱温度などを毎日記録します。

定期的に衛生管理マニュアルを見直す

より高度の衛生状態を保つためにも、定期的に衛生管理マニュアルを見直し、ブラッシュアップすることが必要です。また、現場の従業員の意見にも耳を傾け、衛生管理の効率性を高めるようにします。

食中毒の流行トレンドや行政の指導内容も日々変化するため、少なくとも半年に一度は内容を点検しましょう。

専門機関に相談する

専門機関に相談することも大切なポイントです。定期的に食物微生物の検査を実施してもらい、衛生管理が適切に実施されているか確認しましょう。目に見えない細菌やウイルスの有無を数値化することで、現在の清掃や調理手順が適切かどうかを客観的に評価できます。また、検査結果を衛生管理対策に反映させることも大切です。

<参考>
HACCP7原則12手順とは?義務化対応への基本ガイド

飲食店の食中毒に関するよくある質問(FAQ)

新緑の背景に置かれた「Q&A」の木製ブロック

食中毒の過半数は飲食店で発生しています。衛生管理を徹底するためにも、普段から食中毒に関する情報を入手することが必要です。

食中毒に関するよくある質問とその答えをまとめました。

飲食店で食中毒が発生しやすい原因は何ですか?

加熱不足や不適切な温度管理、衛生管理の不徹底、原材料の保管・管理ミスなどが挙げられます。手洗いや器具の洗浄を徹底する、食材は冷蔵保存するなどの小さなことから食中毒を防いでいきましょう。

詳しくはこちら

食中毒が発生しやすい季節は?

夏(6~9月)と冬(11月~3月)に食中毒は発生しやすくなります。夏は細菌性食中毒、冬はウイルス性食中毒が増える時期です。普段以上に衛生管理を徹底することが求められます。

詳しくはこちら

飲食店で食中毒を予防するために行いたい対策は?

食中毒予防の基本は、「つけない、増やさない、やっつける」です。食中毒の原因となる細菌やウイルスを食品につけない、食品に付着した細菌などを増やさない、食品や調理器具についた細菌などをやっつけるの3点を心がけていきましょう。

また、手洗いや清掃といった基本的な衛生行動も重要です。従業員1人ひとりが衛生管理を心がけていきましょう。

詳しくはこちら

<参照>
政府広報オンライン「食中毒予防の原則と6つのポイント

まとめ

食中毒の予防は、普段の衛生管理にかかっているといっても過言ではありません。特に気温と湿度が上昇する夏場は、わずかな油断が大きな事故につながることもあります。従業員が実施しやすいように衛生管理マニュアルを作成し、1人ひとりが高い衛生観念を持ち、日々実施していきましょう。

<参考>
飲食店でのノロウイルス対策完全ガイド!感染症予防法も解説
飲食店従業員がノロウイルスに感染したらいつまで休む?復帰基準と再発防止のポイント
飲食店の検便検査とは?義務や頻度、必要な検査と衛生管理のポイント

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