更新日:2026年3月12日
介護保険制度の開始はいつから始まった?創設背景や改正・最新内容まで解説

介護が必要になったとき、多くの方が頼りにするのが「介護保険制度」です。「この制度はいつから始まったの?」「いつから受けられるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。介護施設を開業する場合も、利用者に適切なサービスを提供するために、制度の仕組みを理解しておくことが重要です。
介護保険制度は2000年に始まった比較的新しい制度で、高齢化社会の進展に伴い、家族だけでは支えきれなくなった介護を社会全体で支える仕組みとして誕生しました。施設運営の際には、対象者やサービス内容、給付の範囲を正しく理解しておくことで、運営方針やサービス計画の策定に役立ちます。
本記事では、介護保険制度がいつから始まったのか、どのような背景で作られたのか、そして現在の対象者や改正後の内容も解説します。介護施設を開業・運営する方にとっても、制度への理解を深める参考としてご活用ください。
介護保険制度はいつから始まった?2000年4月にスタート

介護保険制度は、介護を社会全体で支えるための仕組みとして2000年4月に創設されました。すでに利用者は600万人を超え、高齢化社会に不可欠な制度として認知されています。
しかし、介護を理由に離職する方もまだまだ多く、仕事との両立が難しいのも現状です。全ての方が働きやすい社会を実現するためにも、介護保険制度への理解を深めておきましょう。
<参照>
厚生労働省「介護保険制度について」
介護保険制度の概要
介護保険制度は、1997年に成立、2000年から施行された介護保険法に基づく制度です。介護保険制度は、次の3つの考え方を基本としています。
- 自立支援
- 利用者本位
- 社会保険方式
単に介護を必要とする方の身の回りの世話をするだけではなく、被介護者が自立できるように支えていくことを目標として介護を実施していきます。また、介護保険制度により提供されるサポートは、介護だけではありません。被介護者の選択により、保健医療や福祉などのサービスも利用できます。
介護保険制度は、給付と負担の関係を明確に示した制度です。制度運用に必要な資金は、50%は税金から、50%は保険料から賄われます。サービスを利用するときは原則として費用の1割を被保険者が負担しますが、一定以上の所得がある方は2割もしくは3割を負担します。
介護保険はいつから払う?
介護保険制度の財源の半分は、被保険者が納付する介護保険料から成り立っています。介護保険の被保険者は満40歳以上のため、満40歳から納付する必要が生じます。
なお、保険料の支払い義務が発生するのは、40歳の誕生日の前日が属する月です。例えば、2025年12月2日に40歳になる人は2025年12月から介護保険料を支払います。また、2025年12月1日に誕生日を迎える人は、2025年11月から介護保険料の納付が発生します。
介護保険サービスを使える対象者
介護保険の被保険者は次の2つに分けられます。
- 第1号被保険者:65歳以上
- 第2号被保険者:40歳以上64歳以下
第1号被保険者は要介護・要支援の認定を受ければ、介護保険サービスを利用できます。一方、第2号被保険者は、末期がんや関節リウマチなどの16種類の特定疾病により介護が必要になったときのみ、介護保険サービスの利用が可能です。
介護サービスの利用方法
介護保険サービスを利用するには、要介護・要支援の認定を受けることが必要です。サービスが必要と考えられる場合は、市区町村窓口で介護認定の申請をしましょう。
申請が受理されると、認定調査員による訪問調査を受け、要介護度の判定へと進みます。要介護・要支援と認定された場合は、ケアマネジャーと話し合い、利用するサービスを決定します。
介護保険制度の創設理由

高齢化が進み、介護を必要とする人は年々増加しています。しかし、核家族化や価値観の変化などにより、介護を家庭のみで負担するのは困難な状況になってきました。
介護保険制度は家庭での介護の負担を軽減し、全ての人が生きやすい社会を実現するための仕組みです。制度の目的や制度開始前に見られた問題点について解説します。
介護を社会全体で支えるため
以下を含む社会の変化により、家庭だけで介護を支えることが困難になってきました。
- 高齢化の急速な進行
- 核家族の増加
- 介護離職の社会問題化
- 医療技術による介護期間の長期化
例えば、介護離職は個々の世帯の収入減につながるだけでなく、国全体の労働者不足を招く要因となります。社会の変化に対応すべく、介護を社会全体で支えることを目的として創設された制度が「介護保険制度」です。
介護保険制度以前の問題点
介護保険制度以前にも、介護サービスに関する法律や制度は存在しました。しかし、福祉と介護、医療が適切に連携できず、さまざまな問題を抱えていました。
| 老人福祉法 | 老人保健法 | 介護保険法 | |
|---|---|---|---|
| 対象サービス |
|
|
|
| 特徴 |
|
|
|
<参照>
厚生労働省「介護保険制度の創設から現在までの動き~地域包括支援センターの役割と期待~」
2000年施行の介護保険法では、利用者の選択権が確保され、自立支援を理念とする利用者本位のサービス提供が実現しています。
介護保険法の改正の歴史

介護保険法は社会情勢や利用しやすさなどが考慮され、定期的に改正されています。主な改正点は以下をご覧ください。
制度開始当初は「介護が必要になった後の支援」が中心でしたが、近年は要介護状態になる前の予防や自立支援、住み慣れた地域で生活を続けられる体制づくりも重視されています。
| 改正時期 | 改正点 |
|---|---|
| 2005年 |
|
| 2008年 |
|
| 2011年 |
|
| 2014年 |
|
| 2017年 |
|
| 2020年以降 |
|
【最新】2024年度の介護保険法改正内容

介護保険法は3年に一度見直しが実施されます。2024年度も介護保険法の改正が実施されました。主な内容は以下をご覧ください。
- 介護情報のデジタル化
- 介護予防支援の実施主体が拡大
- 介護事業者の財務諸表の公表が義務化
- 介護報酬は1.59%のプラス改定
各改正点を解説します。
介護情報のデジタル化
介護情報を一元管理するためのシステム基盤が整備されつつあります。自治体・利用者・事業所・医療機関が情報を共有することで、シームレスな介護サービスの提供を目指します。また、介護事業者の届出を電子申請に統一することも決定されました。
介護予防支援の実施主体が拡大
地域包括支援センターに負担が集中している現況を鑑み、介護予防支援は居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)でも実施可能になります。市町村からの指定を受けて、介護予防関連の業務を担当することになります。
介護事業者の財務諸表の公表が義務化
介護事業者に経営状況を報告する義務が課せられます。各事業所の財務諸表はまず都道府県で取りまとめられ、国がデータベース化して公表する流れです。
介護事業者の財務情報をデータベースとして一元的に蓄積・分析することで、介護報酬の見直しや処遇改善を検討する際の根拠がより明確になります。
介護報酬は1.59%のプラス改定
2024年度以降の介護報酬は、1.59%のプラス改定となりました。介護職員の業務負担の多さは社会問題となっています。増収分は介護職員の処遇改善に充当されることが見込まれています。
介護保険制度における介護サービス事業者が行うべき手続き・申請

介護施設や事業所を運営するには、介護保険制度に基づく各種申請や届出を適切に行うことが求められます。制度を正しく理解することで、施設運営やサービス提供の品質向上にもつながります。
事業開始前に必要な申請・届出
介護関連事業を開始する前に、次の申請・届出が必要です。
- 介護保険事業所指定申請
- 施設の設置届出
管理者やスタッフの資格を確認しておきましょう。必要な資格を有した人材が一定人数以上そろっていないときは、開業が難しくなります。
事業運営中に必要な手続き
開業後は以下の手続きが必要になります。
- 定期報告・計画書提出
- 介護給付費請求
- 研修・資格更新
いずれも提出期限が定められており、遅延すると資金管理などに影響が生じます。期限までに提出書類を準備しておきましょう。
改正や変更への対応
3年に一度は介護保険法が改正されるため、法改正に伴う事業所規定や報酬の変更への対応が必要です。改正内容によっては、利用者情報の見直しも必要です。また、介護報酬改定など他の制度の変更への対応も求められます。
<参照>
東京都福祉保健財団「新規に介護保険事業者として指定申請をお考えの方へ」
介護保険制度のよくある質問

介護保険制度は改正が多く、常に最新の情報を把握しておくことが求められます。制度関連のよくある質問とその答えをまとめました。ぜひ参考にして、疑問解消に役立ててください。
介護保険制度が40歳からなのはなぜですか?
高齢になるほど介護を必要とするケースが増えます。40歳以降は親世代も高齢となり、介護が必要になる可能性が高い年齢です。また、自分自身も加齢や病気、ケガにより介護が必要になる可能性が生じます。
社会全体で介護を支え合う「社会連帯」の考え方に基づき、40歳以上は介護保険制度への加入が義務化されました。
介護保険は65歳以上でも払いますか?
65歳以上も介護保険料の納付は継続します。原則として年金から天引きされるため、明細書などで確認しておきましょう。なお、保険料の金額は、所得に応じて異なります。
介護保険で使えるサービスはどんなものですか?
介護保険では、以下のサービスなどを利用できます。
| 居宅サービス |
|
|---|---|
| 施設サービス |
|
| 地域密着型サービス |
|
| 福祉用具貸与 |
|
<参考>
車椅子の種類や選び方は?事前に調べておくべきポイントや購入方法を紹介
杖の選び方は?種類や特徴、安全な使い方や使用時の注意点を解説
まとめ
介護保険制度の基となる介護保険法は3年に一度、予算や内容などが見直されます。常に最新の情報を入手し、サービスや従業員の報酬、利用者管理システムなどを確認し、適切に対応することが必要です。
また、介護保険制度はサービスの画一化を防ぎ、自由競争の原理の下で創設された制度です。利用者にとって魅力的な施設・事業所であり続けるためにも、サービスの質向上を図ることが求められます。
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